【紫・長編】「年代記三部作/ナグサ」(スト漫のシナリオ)

「先生。すみませんが今日の授業はこれで解散でよろしいですか」シンラとセツナが同時に言った。教師は「よろしい」と言って教材をまとめて、どっこらしょと息継ぎしながら部屋から出ていった。
「お帰りなさいお兄様」少女は言うとシンラの胸に飛び込んできた。ひっくり返えりそうなシンラを後ろから支えたのはナグサだ。「誰ですの」ナグサの顔を見てつららが刺さりそうな険しい表情に変わるセツナだ。「草原で見つけた僕の婚約者さ」シンラの言葉に嫉妬の炎を宿しかけたセツナだったが次の言葉で蔓延の笑みに変わり「カモフラージュだけどね。本来の目的はセツナの侍女且つアクストルリア語を学ぶライバルなんだけど」勝ち誇った微笑に変わった。「そんな者要らなくってよ」きょろきょろ目を回し自信満々のセツナに「わがまま言わないの。カナヴァ家のセツナ様だろう」僕はカナヴァ家の当主だよ。アクストルリア語の方もまだまだみたいじゃないか。メッと言われしゅんとするセツナ。
「かまわなくってよ語学勉強のライバルくらい。侍女でも何でもしてもらおうじゃないの」半ばヤケクソ気味に宣言したセツナに「よろしくお願いします」と言えたナグサであった。但しそれは草原の言葉であったのだが。きょとんとしてるセツナにシンラが通訳するとセツナは横柄に頷いた。
「かまわなくってよ」ところで誰がその者の通訳をするの。王宮内の言葉で聞き返したセツナにシンラはセツナとナグサを指差した。
「お互いに学びあう事」シンラの言葉に戦慄を走らせるセツナで、事の重大さがまだわからぬナグサが同じ質問をした。
ニコニコしながら同じ意を今度は草原の言葉で伝えると、ナグサもひっくり返った。シンラは足の力点を変え転ばずにすんだ。泣き出しそうなセツナに「カナヴァ家の任務は重要ですよ」と囁き「大丈夫?」とナグサに聞いた。
何がだ。通訳無しの侍女奉公が。
しかも外国語学勉強のライバルだと。
正気かこの男。
ナグサは無理だ。絶対に無理だと、おもった。
まずは、見守っててやるから自己紹介から始めなさい。とのリクエストに挙手したのはセツナだった。「私の名前はセツナ·カナヴァ」十歳でアクストルリア外交担当よ。好きな人はお兄さまよと。
セツナと聞こえたので名前だろうと思った。アクストルリアと聞こえたので習ってる教科と思った。最後の文はわからないナグサであった。
その旨草原の言葉で伝えるとシンラから拍手があった。五十点と辛い点をつけて頭を撫でら