「ねぇ、夢野さん」
「なにかな?」
初めて美咲以外の子に話しかけられた。
「夢野さんって、修哉と別れたの?」
明らかに期待している目。
付き合ってるって言うのかな。
運動できて、顔がよくて、頭も良くて、優しくて。
釣り合わないことなんて、最初からわかってた。
「別れてないよ」
でも、好きだったから。
好きで仕方ないから。
だから、これが知らないうちに嘘になっていても、私は…。
「そっかー」
女の子たちは去って行った。
「ねぇ、美咲?」
隣にいた美咲に声をかける。
「…どうしたの?」
「私たち、付き合ってるのかな?」
こんな質問、美咲にすることじゃない。
わかってる。
わかってるの。でも…
「どうだろうね」
美咲は嘘をつかない。
まっすぐに生きてる。
だから、思ってないことを口にしない。
「自然消滅してるようにも見えるけど…」
「そう、だよね」
「でも、自然消滅ってことは、まだ決定的なことは言われてないし、言ってもない」
「え、」
だから…
「だから、どれだけでもやり直せるよ」
何度だって勇気をもらえる。
「本当に好きなら、もう少し頑張ってみたら?」
「…うん!」
視界が明るくなるの。

