そっか、修哉にとって私はもう、彼女ですらなかったんだ。

自然消滅、してたんだ。

決定的な言葉はなくても、終わってたんだ。


「そっか」

そう思うと、私は何故か酷く冷静だった。


「ありがとう」

そんな言葉さえ、すんなり出るんだ。


「今までありがとう」

そう言った私には世界がモノクロに見えていた。


「私たち、ここどくから」


「いや、俺たちが行く」


「え、修哉」


「行くぞ」

女の子の言葉を遮った修哉が私たちに背を向けて歩き出す。


「しゅ…結城くん!」

私は修哉と呼びそうになるのを堪えて結城くんに変えた。

ピタッと結城くんの足が止まる。


「お幸せに」

嫌味に聞こえてないだろうか。

でも、本心だから。

幸せであってほしいから。

心から願うことだけ、許してください。



結城くんは、こちらを向くことなく、去って行った。