ドンッ
「……っ、た。」
「馬鹿、前に見て歩かないからだ。」
「ううっ…、馬鹿馬鹿って言わないでよ…。」
「ほら、行くぞ。」
「鬼…。」
私対して冷たくあしらう斉藤さんに対して私はそう呟いた
その呟きが聞こえたのか斉藤さんは立ち止まった
「誰が鬼だと?」
「わわっ、ごめんなさい!」
不味いと思いその場から離れようとしたら瞬時に斉藤さんに止められた
「いたたた…っ!」
斉藤さんは私のこめかみを両拳でぐりぐりした
「誰が悪いのだ?」
「わ、私です!ごめんなさいっ!」
なんだろ…
不思議と何かがぽかぽかするような錯覚
「何だ、変な顔して」
「いえ、何でもないですよ。」
「さてと、お前は山南さんの所に戻るのだろう?」
「はい、そうです。」
「ん。なら、部屋まで送ってやる。」
「でも、斉藤さんと山南さんの部屋って反対ですよね…?」
斉藤さんと山南さんの部屋の位置は真反対と言ってもいいくらいに反対で遠い
斉藤さん…あなたは優しすぎます……
「またお前がぶつけたら柱が可哀想だろ?」
…前言撤回。
「もう、何てこと言うんですか。」
「冗談だ。ほら、行くぞ。」
「………はい。」
斉藤さんは強引にあたしの手を掴んで進み出した


