それでも貴女が好き㊦









それから私たちは帰ることになった




新見さんは前川邸に

私と斉藤さんは八木邸へ




それぞれ帰るべきところへ帰っていく




帰り際も新見さんは私のことを気にかけてくれたのか

「また気晴らしに行こうな」

と、話しかけてくれた





嬉しくて



でも




恥ずかしくて




俯きながらにも「はい」と小さく答えた




そして最後にポンと頭を撫でて新見さんは前川邸へと帰って行った




「さ、俺達も帰ろうか。」



「はい」



私も八木邸へと帰った





「楽しかったか?」



「はい、楽しかったです。ありがとうございます。」



「なら、良かった。」



そう言って斉藤さんはまた私の頭を撫でる



「斉藤さんっ……。」



「ん?」



「頭を撫でて貰うの恥ずかしいですっ……。」



「…馬鹿、これくらいで恥ずかしがるな。」



そう言って斉藤さんはもっと私の頭を撫でる



「ははっ。」



私の頭を撫でながら斉藤さんは笑う




斉藤さんの笑ったところ初めてみたな…



なんて呑気に考えてたら前を見てなかったのか大きな柱に思いっきり顔をぶつけてしまった