「わぁ…、可愛い!これに…、」
「駄目だ。他のを見せろ。」
私の意見など聞かずに斎藤さんは切り捨てて行く
「斎藤、お前それは駄目だろ。月子が着るものだから月子に選ばせてやれよ。」
「月子が着るものなのは分かる。だから、尚更俺に選ばせろ。俺はこいつの事を沢山知ってるからな。」
「だからってな…、」
「これが俺が唯一出来る事だから、新見さんは口出さないで下さい。」
そういう斎藤さんは何故か別の人にも見えた
「月子、それでいいか?」
「…はい。私も少し桃色は似合わないと思ってましたから。」
「まぁ、直ぐに決めようとするな。色んな種類が沢山あるのだから。」
斎藤さんの言葉にただ頷くことしか出来なかった
「おい、お前が勝手に決めるな。月子にも好みというものがあるだろう?」
「…………、そうだな。」
「だってよ、ほら月子選べ。」
店主が持ってきた着物をズラッと並べると新見さんは私に見せてきた
「え?えーっと……」
「さ、どれにするんだ?お前が好きな色物を選べ。」


