「お前は顔に出やすいからな。」
「そうなんですか?」
「あぁ。わかり易い女だ。」
彼はそう言ってまた笑う
「さて、まずはお前を美しく着飾ってやろうか。」
「え?」
「毎日ほとんどその着物だろ?だから、俺が新しい着物を仕立ててやる。」
そう言って斎藤さんは私の手を握りくるりと踵を返して何処かへと向かった
「斎藤さん、何処に行くのですか?」
「いいから、黙って着いてこい。」
私は大人しく黙って斎藤さんに引っ張られるがままについて行った
彼に付いていきしばらくするとあるお店で立ち止まった
「着いた。」
「凄い着物の数……。」
ぼーっと見惚れるくらい沢山の綺麗な着物があった
「ほら行くぞ。」
「はい。」
斎藤さんと手を繋いで中へと入っていった
「いらっしゃい。本日は何かお探しかい?」
「こいつに見合う美しい着物を仕立ててやってくれ。」
「へい。」
男はそう返事するなり奥へと戻っていった
「斎藤さん…」
「大丈夫だ。」
斎藤さんは私の不安を拭いとってくれるかのように頭を優しく撫でてくれた
(斎藤さんって、以外に体温低いんだ……。けど、冷たくてとても気持ちがいい。)
そう考えながら私は頭を撫でられるがままになっていた


