それでも貴女が好き㊦



「それだけで喜ぶなんて安い奴だな。」




そう言いながら斎藤さんは無邪気に笑った




へぇ、斎藤さんってこんな笑い方もするんだ…。




なんだか少しだけど斎藤さんと距離が縮まったような気がした。





「お腹空かないか?」



「うーん…。」



はっきり言ってお腹は空いてない



斎藤さんが心配するのは当たり前。だってちゃんと食べたのって一月前だ。この間の宴の時は二、三口食べただけだから。



前の私なら「空いてないから、食べたくない」と断ってた。だけど、何故かお腹は空いたのに御飯を食べたいと思う




「少しだけなら…。」



私がそう言うと斎藤さんは嬉しそうに目を細めて笑った




「なら、どこか寄って少し食べていくか。」



「はい。あ、でも私…、」



斎藤さんに「私はあまり外のこと分からないから御飯何があるのか分かりません」と言おうとしたら



「俺が知ってる所に連れっててやる。後行きならが色んな事を教えてやるから。」




と。




まるで私が言おうとした事が分かるかのように…、いや、まるで私の考えてることが分かるかのような口振りだった