それでも貴女が好き㊦



「山南さん、嬉しそうですね。何かあるんですか?」




「つ、月子…、お前勇気あるな……。」




皆が聞けれなかった事をスラっと山南さんに聞いた




「ここはとっても美味しい鍋料理があるんです。でもいつも来ても無いので…、今日こそはって、来ました。」




「…鍋、料理……?」




「えぇ。そうですよ、とっても美味しいですから。…月子さん以外の方は何か良からぬことを考えていたようですけど。」




チラっと山南さんはこちらを見た



「まぁまぁ、怒らんといて。今日はまだ残ってるさかい。それで堪忍したって。」




にっこりと微笑む女将さんは女の色気が凄かった



「永倉君。先に言っておきますけど女将さんは人妻ですから。」



山南さんは睨むように言った



「そ、そんなこと考えてない!」


「いや、しんぱっつあん絶対考えてたね。」


「黙れ、女嫌い。」


「なんだと!この女好きが!!」



近くにいた平助と小競り合いをしてたら頭に激痛が走った




「「いってえええ!」」




俺と平助は痛みでしゃがみ込んだ




「騒ぐなら他所でやれ、他所で。」

「ひ、土方さん……っ。」

「悪いのは俺じゃねぇ!しんぱっつあんが!」

「黙ってろ。店の中で喧嘩すんじゃねぇよ。みっともねぇな。」




そうだ

ここは店の中だった




「すまない。」

「……ごめんなさい。」




折角来たのに俺のせいで台無しじゃないか




「クスクス。」




けど、月子は笑っていた




「喧嘩するほど仲が良いっていうじゃないですか。」




そう微笑む月子は隣にいた女将さんよりとっても美しく見えた




(本気で好きになるって、こういう事なんだな。)




今まで女なんか美しかったら皆変わりないと思ってた。けど、月子を本気で好きになって変わりない所かより美しく見える。