「さて、行きましょうか。ここら辺のいい店僕知ってますから。月子さん、ほらおいで。」




「はい…!」




目の前を月子は通り過ぎ山南さんと手を繋いだ




「……月子。」



今目の前にいたのは本当に月子だったのか?
あのか弱い月子なのか?



俺の頭の中はそんな考えがぐるぐるとまわる



普段の月子とは全く別の目をしてた
冷たくてどこか悲しそうな目を俺は目を離せないでいた
それに今にも殺してしまいそうな目をしていた



「永倉、気になる事はあるかもしれねぇが今は山南さんを追いかけるぞ。ほら、しっかりしろ。」



「あぁ、すまねぇな土方さん。」



俺は土方さんに促されて足を動かした




暫く歩くと1軒の店に着いた



「さて、ここです。」



山南さんはなんだか少し嬉しそうにしてるのは気のせいだろうか



「さ、入りますよ。」



いや、気のせいじゃない
明らか嬉しそうにしてる



そう誰もが思った



(ここに一体何があるというんだ?)



あの山南さんがこんなに嬉しさを露にすることは滅多にない




「敬介はん、また来はったん。今月で何度目や?」



奥からここの女将さんらしき人が出てきた



見た目からして30代くらいだろうか
月子には劣るけど綺麗な人だった




もしかして…




と誰もが山南さんはこの女性の方が好いてると思った




「6度目ですよ。」

「来すぎや。全く呆れるわ。」

「今日こそは…って、来ましたから。」