それでも貴女が好き㊦



そんな沖田君が近藤さん本人に誘われたら嫌でも行くであろう




「さて、全員行くと決まったし少しここの屋敷を片付けるとするか。山南さんはどうするんだい?」



「僕はまず自分の部屋を片付けます。」



「そうかい。なら、私は失礼するよ。夕方に門の前に集合だから忘れずにね。」



「はい、分かりました」



井上さんが部屋から出るとため息が思わず出てしまった



「宴、ですか…。騒がしいのはあまり好きでないのですがね…」



僕は布団を手際良く片付け、夕方になるまで部屋の整理整頓をした







「あ、もう夕方ですね。そろそろ行きますか…」



重たい足を起こして立ち上がった



部屋を出て背伸びをすると欠伸が出た



「…また、いますね」



先程一度消えていたのにまた出てきている




よく見ると両腕がない




「……!」




眺めていたら黒い影がこちらを向いたような気がした



『ダレ?ミナイカオダネ』



「ここに越してきた山南敬介と申します。他にもまだいますが」




僕は幽霊ごときに何を平然と話してるんだろと、思った



『ヘェ、ソウナンダ。…イマ、ナンネン?』




「一八六二年です。」




『モウ、アレから七百年も…』




黒い影がだんだん消え去りあっという間に両腕がない人間へと変わりつつあった