「なんでこんなに人が……。」
見ただけで気分悪くなりそう
「酉の刻だからな。」
「とり…?何ですかその名前は?」
「そこまでも記憶失ったのか。まぁ、いい。今の時間が人が多いってことだ。…今見てどう感じた。」
「………。」
私は当たりを見回す
笑ってる人間
泣いてる人間
怒ってる人間…
いろんな人間がいる
「……らい。」
「なんだ?」
「嫌い。……人間は、嫌い。特にあの笑顔が私は、」
「おーーーい!!」
「……っ!」
永倉さんの声で我に返った
まただ…
また私変なこと考えてた
「芹沢さん、早いぜ…。」
「お前、邪魔をするのか…!」
芹沢さんが大きく腕を振り上げた
危ない!
そう感じた私は咄嗟に腕を抑えた
「駄目です。」
「……!?」
「手を上げてはなりません。だから、この腕を下ろしてください。」
「……っ、命拾いしたな永倉。っち、興ざめだ。新見帰るぞ。」
芹沢さんは新見という男を引き連れて元来た道へと戻っていった
「ふぅ…。」
と、一息着いた時気付いた
周りが何故か静かなことに
「あの娘、あの芹沢の鉄の扇を止めたぞ。」
「あぁ、見た見た。」
静かになったかと思うとこちらをじろじろと見てはぼそぼそと話をしていた
「月子……」
「え?ど、どうしたのですか?」
「お前、あの芹沢さんのアレを止められるなんてな。俺なんか絶対無理だ…」
勿論ほかの人間たちだけではない土方さんたちも私の方を見て固まっていた
「お前、一体…、」
そう土方さんが私に問っていた時だ
「ここで話をするのでは無くて早くお店に行きましょう。永倉君ここから近いのです?」
「え?…あ、いや、かなり遠くなっちまったな。」
「そうですか。なら、近くの店にしましょうか。月子さん、うどんはまたでもいいですか?」
視線に耐えられなくなったのが分かったのか山南さんは店に入ることを催促した
「はい。」
やっぱり山南さんはいい人…
「さて、行きましょうか。ここら辺のいい店僕知ってますから。月子さん、こちらにおいで。」
「はい…!」
私は山南さんの所へと向かい手を繋いで貰った


