それでも貴女が好き㊦



そうしてあっという間に私の目の前に行くといきなり肩に担がれた



「きゃあ!」



「よし、わしがいい店に連れてってやる。おい、新見行くぞ。お前らも来たかった付いてこい。」



後ろでなにやら騒いでるが芹沢さんは気にもせず歩き始めた



「ちょっと、下ろしてください…っ!」



「お前名前はなんていうんだ?」



「…月子です。永倉さんがそう付けてくれました。」



「ほう、月子か。なら、月子。」



「な、何ですか?」



「お前は夜外に出てるのか?」



「…一度だけです。」



芹沢さんの肩の上でバタバタと抵抗するのを止めて質問に答えた



「昼間は?」



「…お天道様が出てる時は出てないです。」



「お天道様か…、随時と…いや、なんでもない。出てないのか。外に出たいと思うか?」



「…いえ、思わないです。」



「何故だ?」



「人が、人間が…怖いです。」



「何かされたのか?」



「分かりません。けど、怖いのです。怖くて、……憎い。」



言葉が止まらない



「記憶を失う前に何があったのか分からないですけど、人間が怖くて憎くて、それにとても寒くて堪らない。」



何かの術にかかったかのように山南さんや土方さんたちに言ってた事以上の事が言葉として出てくる



「降りろ。」



突如、芹沢さんに降ろされた




「いきなり、降ろ……っ!!!」




降ろしてもらい周りを見るとそこには数え切れない程の




人、人、人人人人人人………




「……っ!」




思わず倒れそうになる体を芹沢さんが優しく支えてくれた