それでも貴女が好き㊦




皆さんは次々に手を挙げた
…いや、一人だけ手を挙げずこちらを睨んでる男が残っていた



「斎藤、お前はどうするんだ?」



初めにここに残るといった斎藤という男だ



土方さんに聞かれていても斎藤さんはこちらを睨むように見ていた
その目がとても怖かった



まるで……



「……っ!」



今私何を…




突然よく分からない感情がふつふつと浮き上がってきそうだった

それに

その睨むような目で見られたことが前にもあったような気がした




あの目………

……確か、



「斎藤、どうするんだ?」



斎藤さんで怯えていたのを感じ取ったのか永倉さんが私を背に隠して問い詰めていた



「皆がそういうなら俺も賛成です。」



そう静かに言う



「なら決まりだな。なら、今日は永倉にも案内してもらわねぇと行けねぇし奇数___…、」




土方さんがそう得意気に言おうとした時だった




「なんだ、わしが折角誘ってやろうと思ってやったのだがな。」




近藤さんより野太い声が響いた



「芹沢さん…。」



ぼそっと山南さんがそう男の名前を呟いた




「怖い…」



直感でそう感じとった私
足が竦んで立てれなくなる



分からない



何故こんなにも怖いのか
ただの人間なのに……



「月子さん?!」



立てれなくなった私はそのまま地面に落ちるように座った




「大丈夫ですか?」



「………。」



山南さんの声が届かない



分からなかった



どうして私がこんなにも嬉しいのだろう
あの芹沢さんっていう人怖いのに…




違う
嬉しいんじゃないぞくぞくするんだ