それでも貴女が好き㊦



ガバッ



「…っ!」



「何かされたのか?!!」



土方さんはすごい剣幕で私に掴みよった



「…沖田さんにくすぐられました。」



「くすぐる?」



土方さんは私の肩をつかむ力を徐々に緩める



それと同時に土方さんの表情は拍子抜けする



「なんだ…良かった……。」



「…?」



「いつから総司を知ってたんだ?」



「え?確か、永倉さんが山南さんの部屋に遊びに来た時ですので、うーん…いつでしたっけ?」



「はぁ…、永倉の馬鹿が元凶か。まぁ、総司の事だし永倉のことを脅して話を聞き込んだか。…お前に害は加えてないみたいだし、一先ず安心だな。」



「何が安心なんですか?」



「あいつは好き嫌いが激しい奴だからな、お前のことを嫌っていたらこれからどうしようかと思ってたところだ。お前は、人馴れは最初の頃と比べて良くなったことだし皆に紹介しようと思ってな。」



「紹介…?」



土方さんは私の目の前に座って頭を撫でながら口を開いた



「あぁ、お前をこの壬生狼組に歓迎しようと思ってな。まぁ、記憶が戻り次第だけどな。それでいいか?」



土方さんはふっ、と笑った



(笑った…?)



土方さんが笑うところなんて初めて見たものだから少しびっくりしていた



「月子?」



「え?あ、はい。」



「よし、決まりだな。さてと、山南さんをそろそろ現実に返らすか。」



土方さんは山南さんを起こすために体を揺すった



私はぼーっと先程土方さんが言った言葉を何度も繰り返し思い出していた