それでも貴女が好き㊦



「俺は、……だ。」



「え?」



「だから、俺は藤堂平助だ!」



「藤堂さん…。」



「平助でいい。名字で言われると慣れてないから、恥ずかしい。だから、平助でいい。」



頬をほんのり朱色に染めてそっぽ向く平助さんはどことなく可愛かった



「はい、よろしくお願いします。」



平助さんの様子が可愛くて少し面白かった



私自身、気が抜けたのか小さく笑った



「月子さん、良かったですね。」



そんな様子を見た山南さんが私の頭を撫でてくれた



「はい。」



嬉しくて山南さんに向けて微笑んだ



すると山南さんは手で口元を隠した



「……っ!」



(山南さん、耳が真っ赤…?)



山南さんは耳が赤くなって目を大きく見開いていた



「山南さん…?」



「僕は決して……など、…。」



「……?」



山南さんは何を言っているのか分からないけど、焦って慌てているのは分かる



「山南さん、新八のことなんか気にしなくていいから素直になってみたらどうだ?」



「原田君?!別に僕は…!」



「はいはい。俺らはそろそろお暇するか。おい、平助行くぞ。」



「あぁ!待ってくれよ!」



佐之さんと平助さんは急ぐように部屋から出てった



バタン



「……。」



「……。」



残された私たちは途端に何も喋らなくなる



「…あの、山南さん?」



いや、違う



「……。」



「あのー…。」



「……。」



山南さんが何も喋らなくなっただけ



(こんな時どうすれば……)