「ったく、朝からそんな言葉を口にするなよ。」
「冗談だよ、冗談。な、佐之さん。」
「あぁ、女好きのお前がいきなり男色家になるなんてありえないからな。まぁ、大方俺ら二人以外にもバレたらやばいものを山南さんの部屋に置いてあるんだろうな。」
「な、なわけないだろ?」
佐之は無駄に勘が鋭い
それも大体綺麗に全部会ってる
佐之のいい所なんだけど、時と場合によっては悪い所になるんだよな
「ま、時期が来たらお前らにも教えてやるよ。」
今はまだ駄目だ
土方さんの許可が下りてないのもある
が、何よりも月子をまず俺らにも慣れてもらわないといけない
最初の頃よりかは慣れてはいるけどでも若干怖がってる
まぁ一ヶ月しか生活してないんだし無理だとは思うんだけどもな
「じゃ、俺は行くな。」
二人に背を向けて山南さんの部屋へ向かおうと足を動かす
けど、俺と平助たちが立ち止まって話をした部屋から声が聞こえて足を止めた
「……っひゃぁ。」
「クスクス…。ここ…、弱いんですね…。」
「…だめ…ぇ。」
「こらこら、逃げないでくださいよ。せっかく僕が遊んであげてるのに。」
振り返り平助たちがまだいるのかを確認した
「…!」
平助たちも帰るときに聞こえたのか部屋の前で立ち止まってる
俺は足音をあまり出さずに先程と同じ位置に戻り平助たちと顔を見合わせた
「…今の声、女だよな?」
佐之はできるだけ声を落として言った
「……っ、女…。」
平助はというと顔を真っ赤染めてゴクリと唾を飲み込んだ
「…あぁ。確かに女の声が聞こえた。」
女の声だったのは間違いないが月子の声ではないことを祈る
俺たちは驚き過ぎてどうしたらいいのか分からなくなってしまったところ運良く慌ててこちらに向かってきた山南さんがやってきた
「永倉くん!」
「しーっ…!」
慌てて俺らは山南さんに声を抑えてもらった


