それでも貴女が好き㊦



「ふぅ…」



僕は部屋の前の縁側で持ってきた前茶を飲みながら落ち着いていた



「それにしてもここの屋敷にも何かしら渦々しい何かを感じますね。」




僕は幼い頃から視えてしまったから今頃怖くなんてない




寧ろこう言うのは好き




「ん?あれは…?」



視界にあるモノが目に入った




(人?)




うっすらとではあるが黒い人影があった




その人影は塀をずっと眺めていた




人影のようなものを見たのは初めてだから驚いた




今まで見てきたのは人間離れをした姿ばかりだったから




その人影の横には小さな石が建てられてあった



「えっと、山南さんでしたっけ?」




僕が魅入るように眺めていると不意に後ろから声をかけられた




「八木さん?どうしたんですか?」




僕は後ろを振り向いた




「あの石を眺めていたので…」




八木さんはそっとあの石を指さした