「スー……」



山南さんに後ろから抱き締めるような形で彼女は寝てしまった



「……寝た、のか?」



なるべく小さな声で山南さんに尋ねた



「えぇ、寝てますよ。…けど、僕はここから抜け出すことは少し難しいようです。」



よく見ると山南さんの膝を枕代わりにして彼女はスヤスヤと眠っていた



「そっと、寝かせてやればいいんじゃ?」



「動かしたらまた起こしてしまいそうで…。」



「…それもそうだよな。」



俺と山南さんで悩んでいると土方さんが口を開いた



「山南さん、永倉。」



「土方さん、いきなりどうしたんですか?」



俺は土方さんの方を向きながらそういった



その時の土方さんは初めて見る真剣な顔をしていた



「いいか?今から言う事を絶対忘れるんじゃねぇぞ。」



ただらなぬ土方さんの様子にオレ達は顔を見合わせて頷く



「月子の事は決して誰にも言うなよ。」



「え?どうしてだ?」



「考えてみろ。ここは盛のついた男だらけだ。こいつが襲われるかもしれないんだ。それに…こんな不安定な女子を…ましてや、人嫌いの子が三十人はいる所で姿を晒してみたらこいつはますます人前に出られなくなる。だから、落ち着くまで俺たちだけの秘密だ。いいな?」



「あぁ。」



「僕も大丈夫ですよ。迂闊に人に漏らしませんから。」



「じゃ、俺はそろそろ自室に戻るな。あとはよろしく頼むな。」



土方さんは辺りを気にしながら部屋から出てった