それでも貴女が好き㊦



「何…ですか?」



「……俺はお前が嫌なら行かなくていいし、思い出したくないならそのままでもいい。だけど、分からないままだったらお前が苦しいだけだ。」



「クルシイ……?何ですかそれは…?人の名前ですか?」



よく分からないことを永倉さんは言ってる



永倉さんは目を見開いて私を見ていた



「え?苦しいってことだよ。分かんないのか?」



「初めて聞きましたけど…」



「握り飯のことはわかっただろ?」



「なんとなく分かりました。」



私以外の三人が顔を見合わせて険しい顔をした



「じゃあ、嬉しいは?」



「知りません」



「楽しい…は?」



「知りません。」



「逆に何なら分かる。」



「…?」



「寒いは?暖かいは?」



「…それくらい分かります。今は……、…。」



私自身感じる体温はとても…



「…寒い。」



寒くて寒くて堪らない



温もりが欲しい



「寒い…です。寒くて寒くて堪らない…」



自分自身を抱き抱えるようにした



それでも暖かくならない



「は?寒いのか?!今は暖かい筈だぜ?!か、かか風邪なのか?!」



「永倉君落ち着きなさい。多分彼女は寂しいのでしょう。」



慌てる永倉さんを山南さんが落ち着かせる



土方さんは相変わらず私を観察するように眺めているんだけど。



「寒くて…怖い…」



ガタガタと震える体を抑えるために体を縮こまらせる



「大丈夫ですよ。ほら、こうすれば温めりますよ。」



そう言って山南さんは私を後ろから抱き締めた



(あったかい……)



それに不思議と怖くなくなる…



心地が良い



このまま寝ちゃいそう………