それでも貴女が好き㊦


何故か分からないけど月が恋しい



胸がざわつくように



「月子さん、記憶を思い出したいですか?」



「……分かりません。けど、このままでいい気がします。」



「思い出したくない、ということですね。」



山南さんの言葉にコクリと頷く



「けど、貴女には居場所があるのでは?僕らの居場所がここであるように。」



居場所…?



私に居場所なんてあったけ…



なかったような気がする



「ないです…」



「それは、記憶がないから…、」



「違うんです。これだけはなんとなく分かるのです。私には居場所なんかない…って。」



そう私が言い終えた時だった



ガラ



「どうだ?」



入ってきたのは先程の土方という男



「土方さん、この方の名前が決まりました。月子さんっていいます。」



「月子か。いい名前を貰ったな、月子。」



土方さんは微笑んだ



すると永倉さんと山南さんは驚いてた



「土方さんが女子に微笑んだ?!」



「意外ですね土方さん。」



どうやら土方さんは滅多に笑わないらしい



「…変。」



「あぁ?変だとはなんだ??」



心の中で言ったつもりが口に出してたみたい




「ちょ、土方さん!」



今にも殴ってきそうな土方さんを慌てて止めた永倉さん