「ねぇ、太陽…ってもしかしてお天道様のこと?」
「そうだけど、随分古臭い言い方するなぁ。古風で可愛いけどよ。」
「可愛いくなんかないです。」
「あはは。」
(だから、何で笑うのよ。)
でも、嫌い…じゃない
そう思う自分がいた
人は怖い筈なのに嫌いな筈なのに
永倉さんだけは違うと感じた
「お待たせしました。」
「お、山南さんやっと来たか。俺はもう腹ペコだぜ。」
「永倉君のためのものではありませんから。はい、お腹空いてるでしょう?ほら、食べてください。」
「……。」
私はソレを受け取って口にほほ張った
「美味しいですか?」
「……もう、いりません。」
そういって食べかけの握り飯を置いた
「お腹空いてなかったのですか?」
「……。」
お腹の方は不思議と空いてはいなかった
けど、握り飯が受け付けなかったという方が気持ち的に大きかったがお腹空いていないってことにした
「そうですか。なら、永倉君残りの握り飯差し上げます。」
「おっ、いいのか?!いっただきまーす!」
永倉さんは元気よくそう言うとパクパクと勢いよく口に放り込んでいった
「そういえば、名前決まったぜ!月子っていうんだよな!」
「決まった?考えたのですか?」
「おうよ!名前が無いと呼びにくいだろ?だから、付けさせてもらった」
「月子、さん…ですか。貴女はこの名前でよろしいのですか?」
「……うん。月は好きですから。」


