それでも貴女が好き㊦




「よし、皆揃ったな」



ゆっくり縁側で書物を読んでいたら斎藤君に声をかけられて土方さんの部屋にやってきた



呼ばれたのは僕だけじゃなくて沖田君を始めとする幹部の皆さんも全員集まってた



勿論、近藤さんも



「先日の清河八郎の暗殺でのことだ。先程会津藩から文が届いてな、特別に50両を貰った」



静かだった部屋が少し騒がしくなる



「静かにしろ」



「………」



「そこでだ、今夜新しく入ってきた隊士を歓迎会を兼ねて飲みに行く。」



土方さんの突然の発言に今まで静かだった沖田君が一番初めに声を挙げた



「土方さんは馬鹿なんですか?」



「馬鹿じゃない。」



「だったらなんで!」



沖田君は土方さんに突っかかる



僕らは沖田君を止めることなくただ下を向いていた



沖田君を止めないのはその発言に一理あるから



そりゃあそうだ



なんで今更こんな雰囲気なのにも関わらず歓迎会とかしなくてはならないんだ



「なんで?はっ、それくらいも分からないお前こそが馬鹿だろ。」



「…!この野郎!!」



沖田君は手を握って拳を高く上げた



「止めないか総司」



近藤さんのその一声で沖田君の動きは止まった



その隙をみて土方さんは躊躇なく沖田君の鳩尾を殴った



「ぐふっ…!」



ドサッと沖田君は畳の上に叩きつけるように倒れた



「胸糞悪ぃな」



土方さんは舌打ちをすると部屋から出てった