それでも貴女が好き㊦


近藤さんがここまで困ったよう笑うのは無理もない



いくら僕は斎藤君のことを見たことが無くても噂だけは聞く



斎藤一という男はあの天才剣士の沖田総司と一、二を争う凄腕の居合いの男だ、と。



だからこそ、斎藤君は僕らに欠かせない存在なのだ



剣術の腕前だけで欠かせない存在にならない



僕らはここ京で治安を守る為にそれなりの人数が必要



だからこそ斎藤君に限らずに人ひとり欠けてはならない



「でもな、総司…。斎藤君はな、」



「なら、俺と一本勝負しませんか?」



近藤さんの言葉を遮って斎藤君が顔を上げて沖田君に言い放った



「どうせ君は負けますよ?」



「やってみないと分からないですよ?」



お互い無表情だけで話してる



周りの空気が痛いほど寒い



「受けて立ちますよ。僕が勝ったら帰って下さいね」



「勿論です。俺が勝った暁には…そうですね。何にしましょうか?」



クスリと笑う斎藤君に皆さんは背筋に悪寒が走った



(何故か分かりませんが、斎藤君に少し恐怖を感じます…)




「君が勝ったら僕は君の一日中言いなりになりますよ。」



「では、それで。楽しみですね…」



沖田君と斎藤君は颯爽と道場の方に向かってた



僕たちも慌ててついて行った