それでも貴女が好き㊦





「皆さん、斎藤君を連れてきましたよ。」




そう声をかけると皆さんの耳に届いてないのか騒がしいままだった




「仕方ないですね。皆さん!!!斎藤君がいらっしゃいましたよ!!」



すると皆さんはピタリととまってこっちを向いた



「おぉ、斎藤君か!」



目を輝かせて早足でこちらに向かってきた近藤さん



「お久しぶりですね、近藤さん」



「そうだな!斎藤君は試衛館の時と同じようにまた別の所で暮らしながらここに通うのか?」



「いえ、明日からここで皆さんと御世話になります」



「そうか!そうか!それは良かった。じゃあ、斎藤君改めて挨拶してくれんか?斎藤君を知らん者もいるからの。」



「はい。俺は斎藤一です。」



斎藤君はそう言ってお辞儀をした



「………」



「………」



そんな斎藤君に対して僕達はどう反応したらいいか分からないでいた



そんな長い沈黙を破ったのは沖田君だった



「つまんない男は僕嫌いなんですよね、……弱そうで。」



沖田君は斎藤君の前まで歩み寄るとドンと軽く押した



斎藤君は少しよろけるだけで転びはしなかった



「……」



「何か言ったらどうですか?」



斎藤君は怒鳴る事も何もせず無表情で下を向いてた



「近藤さん!こいつを入隊させるのをやめましょう!」



「しかしな…」



近藤さんは困ったように笑った