「………。」



通りすぎる時斉藤は無言で俺に会釈をした



「おい、斉藤。」



「…なんですか」



「お前、月子が好きなのか?」



「…………。」




黙りか

あー、本当腹が立つ



「黙んなよ。俺は月子の事が好きだ」


「…俺は月子を好きになってはいけない。正直、永倉さんが羨ましい。」


「は?まさか、実の妹だったとか?」


「違う。」


「じゃあ、どういう意味なんだよ!!」



俺ん中で何がごちゃごちゃになって斉藤にぶちまけた



「新八、落ち着け」



俺と斉藤のやり取りを黙って聞いてた佐之が入ってきた


「なんだよ!佐之は斎藤の味方なのか?!」


「新八。」


「斉藤!お前何か言ったらどうなんだよ!!」


パァン


乾いた音が俺のすぐ近く聞こえたと同時に右頬への痛みがあった



目の前には滅多にみない佐之の悲しそうな顔があった



「新八、落ち着け。今ここで斉藤に問うがどの道答えは出てくるもんだ。それに、この件は月子のことだ。月子の素性を明かさないと出ない難件だろ?」



「・・・・」



「わかったか?」



佐之に言われて気がついた



何に自分は焦っているのだろう

焦る自分なんて自分らしくない



もう一度冷静になるために深呼吸をした



「・・・、斉藤つい怒鳴ってしまってごめんな。」



「いや、俺の方こそ紛らわしい言い方だった、すまない」