あたしは上がった息を整えるため、大きく深呼吸した。 ――っていうかなんでこんなに真剣になってんだろ。 あのピアスがプレゼントだったとしてもきっと彼女は喜ぶし、別にあたしが悪いことをしたわけじゃないし。 あたしがこんな真剣になることなんてない、どこの誰かもわからない他人のことなんだから―― 「あのっ」 まさか。 声のした方に、あたしは振り返った。