「すみません、今日もいつものお願い出来ますか?」

「はい、わかりました。」

これが当たり前になった、私たちの会話。
お花を包んだり、会計したりが私の仕事だから、毎日話しかけてくれる。
こんな少しの内容でも凄く嬉しい。

「今日は、黄色のチューリップですか。」

「あ、はいを4月にピッタリかなって思って…思って……です、ね。」

いつもこんな風に話題を振ってはくれるけど、緊張してろくに話すことも出来ない。
かろうじて話せてもどんどん語尾がしぼんでいく。

「確かに、4月にピッタリですね」

ふわっと優しい笑顔になる。
私はこの笑顔が、一番好き。

下を向いて顔が赤くなるのが見えないように、包装をする。

「お待たせしました。またのご利用お待ちしております。」

「いつもありがとう。」

私はその彼の言葉に精一杯の笑顔で返し、お辞儀をする。
結局最後まで、顔が赤いのを隠すことに専念しすぎて、目を合わせることは出来なかった。