「菜摘さん、こんにちは。」

「いらっしゃい、古賀君。」

「今日もたくさん花ありますね!」

「あら、夏希君も来たのねー。」


毎日17:00きっかりに鳴る鐘の音と同時に店頭に入ってくる男の子。

それが私のお目当て。

このお店の近くの高校の制服を身に纏って、友達とはしゃぎながら今日もお店に入って来る。

古賀 春 君。

さらさらな黒髪なのに、右側にいつも小さな寝癖がある。
顔は整っていて、とても綺麗な男の子。


お母さんが入院中で、いつもこの先の病院に行く前に、通り道であるこの花屋でお花を買っていく。
とても、お母さん思いの優しい子。


って言っても全部盗み聞きなんだけどね。


お会計する時は事務的な内容しか話さないし、常連さん相手にいちいち聞くわけにもいかないから、会話も減るいっぽうだ。

春君が、買っていくのは決まってオススメの花。
毎日同じ花じゃ飽きるだろうからって。

これもお友達の七瀬 夏希(ナナセ ナツキ)君と話してたこと。