憑代の柩

「お前は花屋の店員だった。

 前撮りを兼ね、教会の控え室で衣装合わせをしていたあづさの許に花を持っていったのが、お前だ。

 その花に爆弾が仕込まれていたんだ」

「その花、私が作ったんですか?

 頼まれただけなんですか?」

 作ったのもお前だ、という衛に、彼女は、

「だったら、犯人は私ですね」

 ケロッとした顔で言う。

 これには、さすがの衛も面食らったようだった。

 それに気づいて、女は、ああ、と言った。

「自分のことだと思うと厭ですね。

 今、他人事として聞いていたので、冷静に推理するとそうだなと思って」

 彼女は、自分が絡んでいる事件であっても、自分という要素を排除して、客観的に判断できる人間のようだった。

 まあ、敵にはしたくないタイプだ。