※ゾイズ視点です。



ソエル殿を送ってから2日がたった、待ちに待った休日である、俺は趣味である読書をするために図書館へと向かった。

「おや?あれはソエル殿か?」

ソエル殿は服屋から出てきた、服を買ったのだろうか、店でよく見る服を着ていた、元々そこそこの金を持っていたんだろうと思いあまり気にせず、図書館へと向かった、魔王国の図書館は実に素晴らしい、古代の書物から、人間界の書物まで様々な本が置かれている、何処から手に入れているのかは聞いても教えてくれないが……、図書館に付くとカウンターには、場違い感溢れるほどの高級な制服を身に纏う吸血鬼のシャリー殿がいた、彼女はこちらに気付くと声をかけてきた。

「あら、ゾイズ君、相変わらず元気そうね、今日は本を読みに来たの?保証料金はいつも通り金貨1枚よ」
「シャリー殿もお変わりなく、今日は少々種族の生態について書かれた本を読みに来ました、どうぞ金貨1枚です」
「確かに受け取ったわ、種族に関する本よね、確か2階の28番目の棚よ、もしかして、例の彼の事?」
「流石はシャリー殿、情報が早いですな」

シャリー殿は図書館の管理者だけではなく、情報屋としてもかなりの腕を持っており、業界ではかなり有名だ。

「と言っても、朝早くに彼が来たから知ってるだけだけどね」
「え?、ソエル殿が先ほど来ていたのですか?」
「ええ、すごいスピードで館内の本を全部捲って、帰って行ったわ」

本を捲って帰って行った?本当に捲っただけだろうか?

ゾイズは魔法使いであり、魔王国軍の諜報部隊でもあった、そんな彼はこれまで多くのスキルを持つ者を見てきた、だからこそ思ったのだ。

ソエル殿は恐らくだが、なんらかのスキルを使ったのであろう……と

しかし彼は知っている、その手のスキルは目で見るだけでは発動しないことを……

「ソエル殿は本を捲る以外に何かしておりませんでしたか?」
「いえ、見る以外におかしな行動は一つも行ってはいなかったわ、その反応からすると、相当なレアスキルを使ったようね」
「レアスキルどころではないぞ……、恐らくですが、新スキルの可能性が高いですよ、それも神格級かと………」
「神格級!?、神話に出てくる神のスキルじゃあないかい!」

神格級は言い過ぎたかもしれない、だが、恐らくは本の内容を解析し、完全に記憶しているならば……

「これは、逃すわけにはいきませんな、なんとしてでも魔王国の兵士となって貰わねば」
「そうね、それにしても数千年ぶりにデュラン並の化け物が産まれそうね、一体、今まで何処に居たのかすら不思議だけど……」

そんな些細な事は気にしない様子で、ゾイズとシャリーは新たなるスキルに対する探求心に揺れていた。

こうして、リザードマンの魔法使いゾイズの休日は過ぎて行った。