目が覚めると俺は森の中で倒れていたようだ、自分の体を触ってみると人型ではあるようだが、肌の色は真っ黒で腕の一部に鱗のようなものがあり背中にまで広がっている、自分が人間でない事に落ち込みながらも周りと見渡す、少し開けた場所のようでかなり変わった木々が生えていた、紫色の木々に赤紫色の葉が生えており木そのものが一つの化け物のような見た目をしており、今にも襲って来そうなオーラを漂わせている、もちろん襲っては来ないのだが……

「転生した矢先、こんな場所で目覚める時点でかなり運が悪いのかもな、はぁ~」

文句を言って仕方がないと思いふと後ろをみると封筒が落ちていた、不信に思い手を触れた瞬間封筒が光出し中からはロキが出てきた、どうやら立体映像のようだ。

「やぁ、これを見ていると言うことは転生は無事に成功したようだね、よかったよかった、失敗していたら君は間違いなく存在が消えていたからね」

さらっと怖いことを言うロキに何でそんな恐ろしい事をしたのか問いただしたい所だが、この映像を見る限り、一方的に話すだけのようなのでとりあえずは黙って続きを聞いていた。

「まぁ、お喋りはこの辺にしてまずはこの世界がどんな所で君が何に生まれ変わったのか、そして、今の君のスキルについて説明するね」

そう言うとロキは話を始めた、まず自分はどうやら人族と言う部類の存在ではないらしい、魔人と言えば分かると思うが人にも魔族にもなり損ねた存在とのこと、事実上は人間ではないと言う事だった、あの言い方からすると人に生まれ変わる事は無いと思っていなかった訳ではないが……

「まぁ、君の意志が強いから危うく人間になりそうな所を僕が無理矢理別の種類にしただけだけどね~」

おいクソ神、そこは人間にさせろよ、何が危うく人間に成るところだっただよ、そう思ったがこの場ではどうすることも出来ないのでそっと話を聞き続けた、次会うことがあればロキだけは絶対に殴るとソエルが心に誓った瞬間だった。

話を聞いているとこの世界の名前は[クロッサリア]そして今いる大陸はクロッサリアの中でも最も大きいと言われている〔エルスノール大陸〕と言われている場所だそうだ、ちなみに今いるここは《魔装樹林サクスチェンジ》魔族の住む魔界と人間の住む人間界の間にある森で、魔族が人間から襲われないように幻術やトラップを山ほど使ったまさに魔装と言うにはふさわしい場所であろう、ただひとつ気になるのは『魔族が人間から襲われないように』と言う点だ、普通は逆のイメージがあるがどう言うことなのか?

「じゃあ、次に君のスキルについて話すね、君に与えた基礎スキルは《言語自動翻訳》名前の通りこの世界で使われている基本的な言葉なら勝手に翻訳して聞き取ったり発音することが出来るスキルだね」

これはありがたい、正直一から異世界の言葉を勉強するのはかなり疲れる、例え話せたとしても片言ばかりになりそうだしな

「次は種族スキルだね、君は魔人種だから得られるスキルは《聖魔法耐性》《種族変幻》の2つだね」

《聖魔法耐性》は魔法使いの使う魔法と聖者の使う聖法と言われる技のダメージを軽減するものらしい、どこまで軽減出来るかは分からないがそれは追々分かるだろう、どのみち人類の敵になったようなものだしな

《種族変幻》は他種族に化けられるスキルだが、見たことのある種族に限定され、一定のダメージを受けると解けてしまう上に変化中は本来の二分の一程度の力しか出ないとのことから、最初の内は下手に使えない


「最後に、転生した時に与えた特殊スキル《空間操作》《神々の知恵》《創造者》について説明するね」

《空間操作》は現在自分の居る場所から、別の場所に空間をねじ曲げ繋ぎ会わせることの出来るいわゆるテレポートのようなものだそうだ、他にも疑似空間を作り上げポーチのような役割を果たすことも出来るという一家に一台欲しいスキルのようだ。

《神々の知恵》は一度みた物の構造を理解する事が出来る例えば、誰かが魔法を使えばそれを見ていたおれがその魔法を習得できたり、誰かが作った物の完成品をみると作り方まで理解できると言うチートスキルだ、ただしこのスキルには決定的な弱点が合った、何とこのスキルで魔法を習得したり、技術を習得すると「スキルを習得したよ~♪やったね!」と言ってロキのどや顔が頭に浮かぶようになっているとのこと……、ロキめ……許さん……

《創造者》はその名の通り、アイテムや武器を自身の魔力から産み出すスキルと言うこれまた、チートスキルのように見えるが自身の知っている物のみ生成することができ、一つの物を生成するだけでも膨大な魔力を必要とするため、使うことはまず無いようなハズレスキルだ。

「まぁ、後は自分で頑張ってね、まずは魔界に行ってみるといいよ、じゃあ死なないように頑張ってね」

そう言って、意味ありげに笑ったロキの立体映像は消え封筒はいつの間にか、小さな袋へと変わり中には銀貨20枚が入っていた。

「成るようになるしかないか、とりあえずはこの森から抜けることを考えよう」

こうして、俺は不気味な森の中をとぼとぼと進んで行った。