「で、この状況について聞こうか」

先程の少女はメイドの持って来た服に着替え、イザベラによって手で抑えられている、俺はと言うと………正座をさせられ膝の上には四角い石が置かれていた。

「すまない、ソエル殿、ああなったイザベラ様は止められぬのだ」
「まぁ、自業自得だな!」

こ、こいつら、裏切りやがったな………とはいえ、この状況では何も言えないがな………だが、これだけは言わせてほしい

「待て、イザベラ、俺はなにもしてない!」

ドン!

俺の膝の上に、二枚目の四角い石が乗せられた。

「のお、ソエルよ、お主が正直に答えればよいだけの話じゃぞ」
「いやいや、本当に俺はなにも………」

ドン!

「待て、イザベラ、止めろ、いくら俺でもこれ以上は……」

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

いくつの石を乗せられたのだろうか……俺の膝は悲鳴をあげている、いや、ここまでされてやっと悲鳴をあげた俺の膝が異常なのだろう

「ふむ、らちが開かんな」
「い、イザベラ様、この辺で……ソエル殿も反省なされたと思われますので……」
「あ?」
「いえ、なんでもございません」
「ご主人様は………なにもしてません………」

少女が口を開いたその時、イザベラは気付いた。

「そういえば、お主、人族の姿をしておるが、何者だ?」
「私は……魔剣………デュラヒム……です」

……………は?

「「「は?」」」

俺が言う前に、イザベラ、ゲルト、ゾイズはそう言った。

「ま、待つのじゃ、今お主は魔剣と言うたか?」
「はい……本来の……姿に………戻り……ましょう…か?」

そう言って、デュラヒムはジャンプし、空中で一回転すると、禍々しい剣へと姿を代えた。

「………………」

イザベラは黙った。

「ソエル殿、申し訳ありませんでした」
「わ、我は信じておったぞ、のう、イザベラ様」
「も、もちろんじゃ、この石は貴様の強さを計っておっただけじゃよ」
「ほ~う」

素直に謝ったゾイズはともかく………ハハハ、と笑っているイザベラとゲルト………覚えとけよ

「ゾイズはともかくとして、イザベラ、ゲルト」
「「はい!」」

彼らはピシッ手を横に揃えた。

「今すぐこの石をどけて土下座したら、許してやらないこともないが、どうする?」

イザベラ、ゲルトはそそくさと全力で素早く石を下ろし、土下座をしながら言った。

「「すんませんでした」」

・・・・・

王間に移動した俺達は、聖龍討伐の作戦説明会を始めた。

「という訳で、これより、聖龍討伐作戦の説明を始める」
「といっても、俺が単体で突っ込むのは変わり無いんだろ」
「まぁまぁ、ソエル殿」
「我々が行ったら瞬殺されるからな」
「とりあえず、今分かっておることを話すぞ、現在聖龍はヘストラル平原から、我々のおる魔王国へと向かってきておる、このままでは城門より外側の国民に甚大な被害が出てしまう、今回の作戦はいかに被害を押さえられるかが重要だ」

やはり、勝つ前提なんでね、はい、分かります。

「ご主人……私がいる……死ぬことは………無い」

お前も勝つ前提かよ、てか、勝手に人の心を読むな!

「まあ、作戦といってもやることは簡単じゃ、今回復活した聖龍はまだ、完全体では無いらしい、聖龍が他の生物を食べ、完全体になる前にお主がこの紙に魔力を注ぎやつに貼り付け、それを切るのじゃ」
「それはいいけど、その紙はなんだ?」
「ああ、それは聖殺札という、マジックアイテムです、聖龍等の聖者に爆発的な威力を持つ兵器として作られたのですが、貼り付けないと効果がないため、勇者戦ではあまり使えませんでした」

なるほど、つまり対魔王戦アイテムならぬ対勇者アイテムって訳か

「よし、作戦の説明は以上、では、ソエルよ早速出発してくれ」
「ソエル殿、無事を祈ります」
「ソエルよ、我の分まで存分に暴れてこい」
「言っとくが、死にそうになったら戻って来るからな!」

こうして俺は聖龍殺しへと出発した。