しびれを切らしたのか、男が叫ぶ

「名のれ!」

「えーヤダ
オレ自分から名のらないような常識なしに名前教えてやるほどお人好しじゃないし」

男が目を見開く

(ほー
さっすがお金持ち
断られるとは思ってなかったって顔)

「なんだと」

「違うの?」

「違う!」

……いや、違わないだろ

オレはしばらく考えた後、口を開いた

「そっか
ガキだから何もわからなかったんだな
忘れてた忘れてた」

小馬鹿にした物言いに顔を真っ赤にして怒る男

「誰がガキだ!」

指を指すオレ

その指の先にはもちろんその男

「ガキじゃないなら早く名のれば?」

「……レイド」

(……思ったより素直だな)

「第一王子、レイド・バルディ」

……マジで?