「…ユラっ…ユラっ…」
「…陛下、苦しい…」
「……っ…」
だけど陛下の抱き締める力は強まっていく。
それに啜り泣く声と抱き締められている腕が震えていた。
「……ごめんね。」
「……っ…!!」
素の状態で耳元で囁くとハッとした息が聞こえた。
そして埋めている私の肩を額でグリグリとしてきた。
…痛い。
すると
パタパタパタ
「総団長!!陛下!!」
チェスさんが叫びながらライさんやカルナ様と共に走ってきた。
「みんな…」
すると視界の端でカルナ様が…
「ごめんなさい!!ユラさん!!」
私の近くまで来て平伏した。
「……っ…!?」
突然の事に目を見開いた。
「ごめんなさい…私が後ろを見てなかったせいで足を踏み外してユラさんが…」
「…ケホッ…頭を上げてください。カルナ様…お怪我はありませんか?…こちらこそいくら非常事態とはいえ…あなたに思いっきり無礼な事を…申し訳ありません。」
「そんな…!私は…」
「…私はマリンアード王国の直属騎士団を束ねる総団長です。相手が誰であろうと国民を護るのが仕事です。だから私はカルナ様、貴方を護れて良かったです。」
「ユラさん…」
カルナ様はボロボロと涙を流していた。
「…しっかしまぁ、驚いたのはそれだけじゃねぇよ。ユラが落ちてからすぐ、何と陛下がユラを助ける為に自ら海に飛び込んだんだからな。」
「え…!?」
エリック陛下が…!?
私は驚いて、未だ私に抱き付いて離れない陛下を見た。
相変わらず私の肩に顔を埋めて抱き付いている。
だけど今の話が出た瞬間、少し肩が跳ねた。


