「…でも…」
陛下が口を開いた。
「今だけは前みたいに話したい。今だけだから…」
陛下が悲しそうな表情をしてこっちを見ていた。
その陛下の姿は“国王”の顔ではなくて
ただの18歳の“エリック”の顔だった。
“今”だけ…
だけどそんな事をすれば全て崩れてしまいそう…
私の鍵をした心の想いが溢れてしまうかもしれない…
「ダメ…?」
「……っ…」
だけど
「……エリック…」
今だけ私達は只の幼馴染み。
それ以上でもそれ以下でもない。
私の気持ちはまだ心の奥底にしまっておかなくちゃ。
“今”だけ…
そう、今だけだから…
今だけはただの幼馴染みで…
明日にはきっと主従関係に戻るから…


