進んでいくと目の前には母親らしき人物が涙を流しながら口を手で覆っていた。
「ノアちゃん、もう目、開けていいよ。」
「…うん…」
するとノアちゃんの大きな目が開いた。
「よく頑張ったわね。ほら、お母さんよ。」
私が見えるように横を向いてあげると
ノアちゃんはゆっくり振り返った。
そして
「ママぁ!!」
「ノア…!!」
私はノアちゃんを降ろすとダダダッと走って行った。
泣きながら抱擁を交わす親子。
…母親、か。
私はその親子をしばらく見つめた後、背中を向けた。
すると
「王妃様っ!あの…ありがとうございました!!」
振り返ると頭を下げている母親。
そして笑顔のノアちゃん。
私は微笑んで馬車の方へ歩いた。


