――昼休み。
王泉くんと職員室を出る。……大量のプリントを持って。
「ったく、どんだけあるんだよプリント」
「先生、あたしたちのこと雑用係か何かだと勘違いしてるんじゃないのかな」
ため息混じりに顔を見合わせて言ったあたしたちは、早速そのプリントを視聴覚室へ持っていくことにした。
先生にこのプリントを視聴覚室へ持って行ってくれと頼まれたときは、「学級委員と何の関係もないじゃないですか!」と反論しそうになった。
それをグッと堪えられたのは、王泉くんが横で「はい」といい返事をしたからだと思う。
「さっさと運んじゃおうか」
「そうだな」
王泉くんの隣を並んで歩くと、痛いくらいわかる。
女子からの人気がどれだけすごいかということが。
嫉妬心が含まれた女子の鋭い視線が、さっきからあたしを貫いている。
うぅ、痛い……。
ボソボソと聞こえてくるあたしに対する悪口を、大声で否定したくて仕方ない。
王泉くんがイケメンで爽やかでしかも学級委員で責任感が強いから、あたしが横にいることが気に食わないんだろうな。
本当にモテるんだなぁ、王泉くんって。
職員室から少し遠い視聴覚室に着いたあたしたちは、プリントを机に一枚一枚置いていく。
これも先生に頼まれた仕事だ。
先生、あたしたちをパシらせて、自分は楽してて……本当にずるい。



