教室に入ると、友達の親本 充希【シンモト ミツキ】が挨拶をしてきた。


「おはよ、雪」


「おはよう、充希」


充希とは中学の頃からの友達で、桃くんの抱きつき癖を昔から見てきた人物。



「はよ、姫宮」


「あ、おはよう、王泉くん」



充希の後に挨拶してきたのは、クラスメイトの王泉 柏人【オウイズミ ハクト】くん。

爽やかな雰囲気の王泉くんは、クラス一のモテ男。そんな王泉くんとあたしは、学級委員をやっていて、周りの女子よりもちょっとだけ仲いいかも。


かと言って、王泉くんのことが好き、というわけではないのだけれど。



「相変わらず爽やかね~」

「なんだよそれ」


充希のからかいの言葉に、王泉くんはハハッと笑って返す。

さすが王泉くん。笑う顔も爽やかでかっこいい。


桃くんとは違った笑顔だ。



「姫宮、昼休みに学級委員の俺らにやってほしいことがあるって先生が言ってたぜ」


「わかった。昼休みね」



先生からよく雑用を頼まれてしまう学級委員になってしまったのは、充希があたしを推薦したからだ。


「大変だね、雪」

「充希のせいだからね」

「ごめんってば」


謝る気なしの充希の笑顔に、あたしは口を尖らせるが、すぐに吹き出した。

充希といると、苛立つことでさえ笑ってしまう。