「ありがとう」
「えへへ」
もう一度桃くんにお礼を言うと、桃くんは目を細めてふわりと笑った。
すごく甘くて、優しい笑顔だった。
「そういえばさ」
「なに?」
「雪ちゃん、告白されてたでしょ」
「……えっ!?」
な、なぜそれを!?
ジトッとした目であたしを見てくる桃くんに、あたしはあたふたしながら目を泳がす。
「やっぱり」
「なんでわかったの?」
「雪ちゃんの教室で親本さんと話してたら、雪ちゃんと同じ学級委員の奴が教室に戻ってきて、その時のあいつの顔が赤かったから、告白したのかなって」
……ていうことは、もしかして……。
「桃くん、王泉くんの気持ちに気づいてたの?」
「あんなにわかりやすかったら、誰だって気づくよ」
あ、あたしは気づかなかったよ……。
もしかしてあたしって鈍感なのかな?
「それで?雪ちゃんはどんな返事をしたの?」
何かを探るような瞳で、桃くんはあたしのことを見つめてくる。
抱きしめられているから、距離が近すぎてドキドキする。



