……それで、朝も昼休みも放課後もあたしと一緒にいてくれてたの?
ずっと、何も知らないあたしを守ってくれていたの?
「雪ちゃんの下駄箱によく悪口が書かれた紙切れが入ってたり、雪ちゃんを見かけると影でこそこそ雪ちゃんのことを悪く言ったりしててさ、そういうの雪ちゃんに知られたくなくて頑張ってたんだけど……」
「桃くん……」
「ごめんね。結局、守れなかった」
ギュッと自分の手をきつく握り締める桃くん。
ああ、なんて。
……なんて愛おしいんだろう。
「ううん、そんなことない。桃くんはあたしのことを守ってくれたよ」
「ゆ、きちゃん……?」
あたしは初めて、桃くんを抱きしめ返した。
優しく温かな温もりを、今まで以上に感じる。
桃くん、そんなに自分を責めないで。
「ありがとう、桃くん」
桃くんはあたしのヒーローだね。
桃くん。
そばにいてくれて、ありがとう。
今まで守ってくれて、ありがとう。
ゆっくりとうずめていた顔を上げていく桃くん。
ねぇ、桃くん。
またあの可愛い笑顔を見せて?



