「先輩なんかが小原くんを独占しないでください!!」
「小原くんの彼女でもないくせに!!」
「それに、小原くんの隣は、あんたじゃ似合わないんだよ!!」
後輩女子3人の鋭いナイフのような言葉が、あたしの心をグサッと突き刺さる。
心が痛い……けど、ここで負けてちゃいられない。
だってあたしは桃くんのことが―――。
「何言ってんの?」
静かに開かれた視聴覚室の扉。
そして聞こえてきた、大好きな人の声。
「も、もく……」
だんだんと近づいてくる桃くん。
すると桃くんは、横からあたしのことをギュゥッと強く優しく抱きしめた。
「僕の隣は、雪ちゃんしか考えられないよ」
さらに抱きしめる力を強めた桃くんの甘い言葉が、あたしの鼓動を速まらせる。
……え?
「ついでに言うと、僕が雪ちゃんを独占してるんだからね」
チュッとリップ音を立てながらあたしの右頬にキスを落とした桃くんは、後輩女子に向けてベーッと舌を出した。
そして桃くんはもう一度、見せつけるようにあたしの真っ赤な頬にキスをした。



