「私たちを含め、多くの女子が小原くんを愛してるんです!」


「あ、愛し……?」


「なので、これ以上桃くんに近づかないでください!!」



愛してる、なんてよく言えるな……。

そんなことを呑気に考えてるあたしに、「聞いてますか!?」とやっぱり強気な言い方で言うきつい巻き髪の女子。



そんなことを言われても、仕方ないじゃん。


近づくなと言われても、お隣さんだからどうしても近づいちゃうし。


というか、桃くんの方が近づいてくるし。



……それに、あたしだって離れたくないよ。



「もし近づいたら……」


後輩女子の声のトーンが下がった気がした。

いや、きっと気のせいじゃない。



「どうなるか、わかってますよね?」



これは……もしかして、あたし脅されてる?

あたしを睨みながら言った後輩女子に、ゾクリと背筋を凍らせるあたし。


ど、どうしよう……!?



……でも、それでもあたしの答えは、脅されても変わらない。


やっぱり、離れたくないよ。



「あ、あたしは、桃くんのそばを離れないよ!」



あたしがきっぱりとそう言い切ると、後輩女子の顔つきが変わった。

怖いくらい鋭い後輩女子の目つきに、あたしは震える唇を噛み締める。