――先生から頼まれた全ての仕事を終えたあたしたち。
今視聴覚室にいるのは、あたしだけだ。王泉くんは、先に教室へと戻っていった。
初めてされた告白を振ったあたしは、王泉くんと一緒に歩くことをためらった。
時間を置いて、あたしも教室に戻ろうと考えたのだ。
王泉くんも、今はひとりになりたいだろうし。
「はぁ……」
こぼれたため息が、なんだか重く感じる。
告白、か……。
あたしはいつできるのだろうか。
桃くんに「好き」と伝える勇気は、あたしにはまだ無い。
もっと言ってしまえば、「好き」と伝える自信すら無い。
「どうしたらいいんだろう……」
いつか、桃くんに言いたい。
この気持ちを、はっきりと。
ガラッ!!!
そんな考え事をしていると、突然勢いよく視聴覚室の扉が開いた。
「初めまして、姫宮雪先輩」
「……え、っと……は、初めまして」
入って来てすぐに扉を締めて、そしてあたしにそう挨拶をしたのは、見知らぬ女子3人。
だ、誰……?
「先輩」って呼ばれたということは、後輩……?