【短】かわいい桃くんの甘い癖




「ふーん」


「突然どうしたの?」


「あ、えっと、……ずっと付き合ってると思ってたから」



え!?

王泉くんの言葉に、あたしは頬を赤らめながら目を丸くする。


思わずホチキスを落としそうになっちゃったよ。



「つ、つつ、付き合ってないよ」



頬が熱い。

やばい、今絶対に顔赤いよ。


桃くんのことになると、いつもこれだ。


赤面症って、どうやったら治るんだろう。



「……よかった」


「へ?」



王泉くんの小さな呟きに、あたしは変な声を出してしまった。

今、「よかった」って言った?聞き間違い、かな?



「付き合ってなくて、よかった」



もう一度言い直した王泉くんの瞳が、真っ直ぐあたしを捉えた。

王泉くんの声が、はっきりとしたものへと変わったのがわかった。



「どうして……?」



どうして「よかった」なの?

あたしは動かしていた手を止めて、王泉くんを見つめる。