開いた口が、ふさがらなかった。


「だってさ。所詮はお前の体目当てだったってことじゃねぇの?」


最低だ。そういえば、あの時も…。


「十波、昔アイツに何かさせた?」


「……なんにも。キスしたのも、全部新ちゃんが初めてだったよ」


私がそういうと、新ちゃんはものすごく満足そうに笑って、私から目を逸らした。


「へぇ。まぁ別にいいけど」


帰ろっか、と二人どちらからともなく足を一歩踏み出した。



その日の景色は今までに見た事がないくらいキラキラしていて、隣にある熱がとてつもなく心地よかった。


帰り道、あとりちゃんの家に寄った。

別に昨日の事を引きずってるというわけでもなかったらしく、ただなんとなく行く気になれなかったらしい。


「ごめんね迷惑かけて。
 
 それから、おめでとう」