その数日後、私は理事長の娘でありスクールカーストのトップにいる有栖川さんに呼び出された。




「吉野さんって、最近調子乗ってるよね?」



口調はゆっくりめだけど、彼女の機嫌が良くない事は目に見えて分かった。




「あたし、空くんの事が好きなんだ。だから分かれてくれない?」




そういう事か……大石くんはなかなかのイケメンだし、西園寺さんが恋するのもわかる。




で、私に嫉妬して呼び出したのか。




「いや悪いんだけど私から告白した訳じゃないし、まだ空の事好きなのかも分からない感じで……空に直接言ってくれないかな、そういう事」




「何、あんた空くんの事好きでもないのに付き合ってんの⁉︎」




「えっと、そういう訳じゃ……」




有栖川さんの目が変わった。さっきの可愛らしい顔からはかけ離れ、鬼の形相とも言える。




これが彼女の素顔なのだろう。



「もういいから、お前ほんと消えろよ」



有栖川さんが腕を振り上げ、私を殴ろうとする。




思わず身構えたが、その手が私の頭に落ちる事はない。



え……?



「何してんの?」



聞き覚えのある声に驚いて目を向けた先にいたのは、なんと大石くんだった。