制服に袖を通し、階段を下りた先にはお母さんの秘書である最上さんが待っていた。


「あ、桜さん。おはようございます」


ニコッと見せた笑顔を見て、綺麗だなと改めて思った。


くっきり二重に男性とは思えない長いまつ毛。その上仕事もできるからきっとモテモテなんだろう。


「すみません、お待たせしてしまって」


「いえ、私も今来たところですので。それより、先生が中でお待ちですよ」


・・・お母さんが?


一瞬疑問に思ったけど、それはすぐに消えた。



このやりとりは決して非日常的ではなく、とても慣れたものだったから。