「こんな事してて本当に楽しい?」



「は?」



「もっと他にやる事あるんじゃないの?くだらない」




私は中学校の3年間、友達とか遊びとかいろんなもの全てを捧げてここに来た。



それを親の権力だけで入学した人なんかに邪魔されたくない。



「あんた何言ってんのか分かってんの?」



有栖川さんが私の襟を強く掴んだ時だった。



「有栖川、もうそこら辺にしとけよ」



彼女の手首を掴み、それを下ろさせる。


「空・・・」


「そ、空くんには関係ないよ?」



有栖川さんが急に上目遣いで猫なで声を出したものだから、クラスメイト全員が拍子抜けした。



「桜は俺の彼女だ。その手を今すぐ離せ」



「はあい。皆、行こ」



渋々突き放し教室を出て行く有栖川さんの背中を見て、私は力抜けしたようにぺたんとその場に座り込んだ。