空も気にするなって言ってくれてるし、こういうものは無視に限る。



そう前向きに考えて黒ずんだ上履きに履き替えて教室に移動すれば、



バフッ・・・



上から何かが落ちてきたかと思うと、何か粉状のものを吸い込みゲホゲホと咳き込む。



頭にぶつかって落ちたそれは黒板消しだった。



こんな子供じみた真似して、小学生みたい。


「吉野さん、大丈夫〜?めっちゃ汚いよ」


そうへらへらと笑いながら近づいてきたのは、この罠を仕掛けた張本人である有栖川さん。



「これで綺麗にしなよ」


ビシャっ‼︎


すると有栖川さんは、近くにあった花瓶の水を私に勢いよくかけてきた。


「ははっ、水も滴るいい女ってヤツ?」


私に怒りなどない。


あるものは、哀れみだけだった。